
結論:令和8年度の地域別最低賃金は、全国の加重平均で1,177円(前年度から56円の引き上げ)になりました。人件費が上がり続けるなかで、中小企業ができる備えは、人を増やすだけではありません。1人あたりの作業時間を減らす「省力化投資」も、有力な選択肢です。順番は、①業務の棚卸しで、時間を取られている作業を見つける ②Excelの工夫やAIなど、小さく安い方法から始める ③補助金が使えるかを、公式情報で確認する、の3つがおすすめです。
2026年9月3日、厚生労働省は、全47都道府県の最低賃金の改定額が答申されたと公表しました。各地で、10月1日から12月2日までの間に、順番に新しい額が適用されます。「人が採れない」「採れても賃金の負担が増える」という二重の悩みを抱える会社にとって、仕事のやり方を見直す時期が来ています。
令和8年度の最低賃金は、どう変わりましたか?
厚生労働省の発表の要点は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 全国加重平均 | 1,177円(前年度から56円の引き上げ) |
| 最高額/最低額 | 1,280円/1,085円 |
| 引き上げ額の幅 | 54円〜65円(47都道府県) |
| 適用の時期 | 令和8年10月1日〜12月2日の間に、都道府県ごとに順次 |
自社の都道府県の額と、適用される日は、厚生労働省や、都道府県の労働局のページで確認してください。最低賃金は、正社員、パート、アルバイトなど、雇用形態を問わず、時給に直したときに下回らないようにする必要があります。
時給が上がると、会社の負担はどのくらい増えますか?
あくまで、分かりやすくするための計算例です。時給が56円上がるとき、月に160時間働く人1人あたりで、単純計算で月に約8,960円、年に約10万7千円の増加になります。人数が10人なら、年に約107万円です。社会保険料などの会社負担や、他の従業員との賃金のバランスの調整は含んでいませんので、実際は、これより大きくなることがあります。
この負担を、価格に転嫁できればよいのですが、すぐには難しい会社も多いはずです。そこで、「同じ人数で、より多くの仕事をこなせるようにする」という考え方が、重要になります。
省力化投資は、何から始めればよいですか?
いきなり大きな設備やシステムを入れるのではなく、次の3つの順番で進めると、失敗が少なくなります。

- 業務の棚卸し:1日、1週間、1か月の作業を書き出し、「時間がかかっている」「同じことを何度も入力している」「人によってやり方が違う」ものに印をつけます。ここで、「やめてよい作業」が見つかることもあります。
- 小さく、安く、試す:Excelの関数やAIの活用で減らせる作業は、まずそこから。たとえば、集計や転記は、Excelの関数をAIに作ってもらう方法で、すぐに試せます。それでも足りない作業を、アプリやシステムにします。
- 補助金が使えるか確認する:費用が大きい投資は、補助金が使えるかどうかを、公式の情報で確認します。使えなくても進められる投資から始める、という順番にしておくと、安全です。
棚卸しの進め方や、AI導入の全体像は、AI導入の進め方と、属人化を解消する方法のコラムでも解説しています。
小さく始めた改善を、現場に定着させる方法は、AIや社内システムを定着させる方法で解説しています。
省力化投資補助金とは、何ですか?
「中小企業省力化投資補助金」は、人手不足の解消に効果のある設備やシステムを入れる中小企業を応援する、国の補助金です。公式サイトでは、次の2つの型が案内されています。

| 型 | 内容 | 補助の上限額 |
|---|---|---|
| カタログ注文型 | 付加価値や生産性の向上に効果のある「汎用製品」を、カタログから選んで導入する、簡易で即効性のある省力化投資 | 最大1500万円 |
| 一般型 | 個別の現場や事業内容に合わせた、設備の導入やシステム構築などの省力化投資 | 最大1億円 |
公式サイトによると、一般型の第8回の申請は、2026年10月16日17時に締め切られました。次の第9回は、11月上旬に公募が始まり、12月上旬に申請の受付が始まって、12月下旬が締切の予定です(詳細は、後日発表)。申請には「GビズIDプライム」のアカウントが必要で、取得には一定の期間がかかります。使うかどうかにかかわらず、早めに取得の準備をしておくと、あわてずに済みます。
補助金には、対象になる経費や、申請の条件があります。多くの補助金では、採択や交付が決まる前に発注した費用は、対象外になります。必ず最新の公募要領を読み、事務局や、商工会議所・認定支援機関などに確認してから進めてください。補助率や締切などの数字は、変わることがあります。
補助金がなくても、できることはありますか?
あります。補助金は、使えれば助かりますが、採択されるとは限らず、申請にも手間がかかります。補助金を待たずに、まず、どの作業を減らすと、どれくらい効果があるかを知ることが大切です。SaCの時間削減シミュレーターは、社員数や、1日の手作業の時間などを入れると、減らせる時間と人件費の目安を試算できます。参考値ですので、効果を保証するものではありませんが、投資を考える最初の手がかりになります。
手作業を減らす具体的な方法として、SaCのシステム開発では、業務を1つに絞った小規模な開発(10万円(税別)から)をご用意しています。電話のメモ、データの入力、紙の伝票、受注や顧客の管理など、現場の手作業から、仕組みにしていきます。
よくある質問
Q. 小さな会社でも、省力化投資補助金は使えますか?
中小企業や小規模事業者が対象とされています。ただし、業種や規模、取り組みの内容などの要件があります。自社が対象になるかは、公式サイトの公募要領で確認してください。
Q. 補助金を待ってから、投資を始めた方がよいですか?
補助金は、採択されるかどうか分からず、申請から決まるまでに時間がかかります。補助金を待つ間も、棚卸しや、小さな工夫は、すぐに始められます。補助金は「使えたらラッキー」くらいの位置づけにしておくと、判断を誤りにくくなります。
Q. 人を雇うのと、システムを入れるのと、どちらがよいですか?
どちらか一方ではなく、「人にしかできない仕事に、人を使う」ために、手作業を減らすのが基本です。電話や入力、転記のような作業を減らせれば、いまいる人が、お客様への対応や、改善に時間を使えるようになります。
Q. 最低賃金が上がる前に、何をしておけばよいですか?
まず、自社の従業員の時給が、新しい最低賃金を下回っていないか、確認します。そのうえで、時間を取られている作業を書き出し、削れるものから手をつけます。
まとめ:賃金の上昇に、「作業を減らす」で備える
最低賃金の上昇は、これからも続くかもしれません。人を増やすことだけに頼らず、業務を棚卸しし、小さく試し、補助金は公式情報で確認する。この順番で進めれば、無理なく、省力化を進められます。
「どの作業から減らせばよいか、一緒に整理してほしい」「AIやシステムで、何ができるのか知りたい」という場合は、SaCのAIコンサルティングで、業務の整理からご相談いただけます。顧問型のAIコンサルティングは月額8万円(¥80,000)からで、初回のご相談は無料です。まずは、お問い合わせから、お気軽にご相談ください。