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バックアップの「3-2-1ルール」とは|中小企業が無理なく始める4つの手順

システム開発

バックアップの「3-2-1ルール」とは|中小企業が無理なく始める4つの手順

結論:バックアップの基本は、「3-2-1ルール」です。データを3つ持ち(元のデータ+バックアップ2つ)、2種類の保存先に分け、そのうち1つは別の場所に置くという考え方です。さらに大切なのは、「実際に戻せるか」を確かめておくことです。中小企業は、①何を守るか ②どう組み合わせるか ③いつ取るか ④戻す練習をする、の4つの手順で、無理なく始められます。

パソコンの故障、うっかり削除、ランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求する攻撃)、火災や水害。データを失う原因は、さまざまです。「バックアップは取っている」という会社でも、いざというときに戻せなかったという話は、少なくありません。このコラムでは、バックアップの基本の考え方である「3-2-1ルール」と、中小企業が無理なく始める手順を、やさしく解説します。

3-2-1ルールとは何ですか?

3-2-1ルールは、データを守るための、基本の考え方として広く知られているものです。3つの数字は、次の意味を持ちます。

バックアップの基本「3-2-1ルール」:データを3つ持つ、2種類に分ける、1つは別の場所に置く

数字 意味 ねらい
3 データを3つ持つ(元のデータ+バックアップ2つ) 1つが壊れても、ほかが残る
2 2種類以上の保存先に分ける(例:パソコンと外付けのディスク、クラウドなど) 同じ種類の機器の故障で、まとめて失うのを防ぐ
1 1つは、別の場所に置く(遠隔地、クラウドなど) 火災・水害・盗難など、その場所の被害から守る

数え方で、注意したい点があります。同じパソコンの別のフォルダや、同じディスクの別の区画は、「別の保存先」とは数えません。そのディスクが壊れたら、まとめて失うからです。

なぜ、バックアップが1つだけでは足りないのですか?

1つだけだと、そのバックアップ自体に、問題が起きたときに、戻す手段がなくなります。たとえば、次のようなことが起こり得ます。

  • 機器の故障:バックアップ用の外付けディスクも、故障することがあります。
  • ランサムウェア:パソコンにつなぎっぱなしのバックアップは、元のデータと一緒に暗号化されるおそれがあります。
  • 災害・盗難:元のデータとバックアップが、同じ部屋にあると、まとめて失います。
  • サーバーの事故:サーバーの中だけに置いたバックアップは、サーバーごと失われることがあります。
  • 気づくのが遅れた場合:間違いに気づいたときには、バックアップも、すでに上書きされていることがあります。

サイバー攻撃への備え全体については、サイバー攻撃は防ぎきれない時代へ|中小企業が「入られても大丈夫」な体制をつくる方法のコラムで、解説しています。

中小企業は、何をバックアップすればよいですか?

すべてを同じ重さで守ろうとすると、続きません。「失うと、業務が止まるもの」から、順に始めます。

対象 例 確認すること
共有フォルダ・パソコンのデータ 見積書、契約書、図面、Excelの台帳 誰のパソコンに、重要なデータがあるか
業務システムのデータ 会計、販売管理、自社で作ったアプリ データの保存場所と、取り出し方
ホームページ WordPressなど(データベースとファイルの両方) 誰が、どこに取っているか
メール・クラウドサービス メール、クラウドの文書や名簿 サービス側の保存と、自社のバックアップは別。契約内容を確認

「このデータが明日なくなったら、何日分の仕事をやり直すことになるか」と考えると、優先順位が見えてきます。やり直しの大変なものほど、先に、しっかり守ります。

どこに保存すればよいですか?

3-2-1ルールにあてはめた、組み合わせの例です。会社の規模や、データの量によって、選び方は変わります。

保存先の組み合わせ例:元のデータ(パソコン・サーバー)、手元のバックアップ(外付けディスク・NAS)、別の場所(クラウド・別の拠点)

役割 保存先の例 特徴・注意点
元のデータ パソコン/社内のサーバー 日々の作業で使う場所
2つ目(手元) 外付けのディスク/NAS(社内に置くデータ保管用の機器) 戻すのが速い。つなぎっぱなしにしない、または、書き換えを制限すると、ランサムウェアに強くなる
3つ目(別の場所) クラウドのストレージ/別の拠点/(外付けディスクを別の場所に保管) 災害や盗難に強い。アクセスする権限(ID・パスワード)を、しっかり管理する

どの方法でも、共通して大切なことが2つあります。

  • 自動で取れる形にする:人の手に頼ると、忙しい時期に、取り忘れます。
  • バックアップ自体を、守る:パスワードをかけ、アクセスできる人を絞ります。個人情報や取引先の情報が入っているので、元のデータと同じように、大切に扱います。

中小企業が、無理なく始める4つの手順は?

  1. 守るものを書き出す:上の表を使い、「どのデータが、どこにあるか」を一覧にします。意外な場所(個人のパソコンなど)に、重要なデータがあることに気づくことが、よくあります。
  2. 組み合わせを決める:元のデータ、手元のバックアップ、別の場所のバックアップ。この3つを、どの機器・サービスにするかを決めます。
  3. 取る頻度を決める:「最大で何日分のやり直しなら、耐えられるか」を基準にします。毎日更新するデータなら毎日、あまり変わらないデータなら週に1回など、データごとに決めてかまいません(あくまで目安です)。
  4. 戻す練習をする:実際に、1つのファイルを選び、バックアップから戻してみます。定期的に(目安は、年に1〜2回)行い、「誰が」「どの手順で」戻すのかを、紙に書いておきます。

バックアップは、戻せて、はじめて役に立ちます。取っているだけで安心せず、必ず、手順4まで行いましょう。

ホームページ(WordPress)のバックアップは、どう考えればよいですか?

WordPressのサイトは、データベース(記事の内容など)とファイル(画像・テーマ・プラグインなど)の両方を、セットで保存する必要があります。片方だけでは、元の状態に戻せません。ホームページの場合は、次の点を確認してください。

  • サーバーの自動バックアップだけに頼らない:サーバー会社の機能は便利ですが、保存期間や範囲、戻し方は、会社ごとに違います。契約内容を確認し、別の場所にも持ちましょう。
  • バックアップのファイルを、外から取得できる場所に置かない:バックアップ用のプラグインなどが作ったファイルが、ホームページの公開フォルダの中に残り、URLを知っていれば、第三者がダウンロードできる状態になっていた、という例があります。保存場所とアクセス制限を、確認してください。
  • 更新の前後に取る:PHP、WordPress、プラグインを更新する前には、必ず取ります。

年末に確認したい項目は、年末のIT・ホームページ棚卸しチェックリストにまとめています。

よくある落とし穴には、どんなものがありますか?

落とし穴 対策
取っているだけで、戻したことがない 年に1〜2回、戻す練習をする
バックアップが、元のデータと同じ場所にある 別の機器・別の場所にも持つ
外付けディスクを、つなぎっぱなし 取るときだけつなぐ。または、書き換えを制限する
担当者しか、やり方を知らない 手順書を作り、2人以上で共有する
パスワードや暗号化の鍵を、なくす バックアップとは別の場所に、安全に保管する
古いバックアップを、すぐ消してしまう 間違いに気づくのが遅れても戻せるよう、何世代か残す

3-2-1ルールより進んだ考え方は、ありますか?

余裕ができたら、さらに「書き換えられない形で、1つ保存する」「戻せることを、確認する」を加えた、「3-2-1-1-0」と呼ばれる考え方もあります。ランサムウェアへの備えを、さらに強めたい場合の発展形です。まずは、基本の3-2-1と、戻す練習から始めれば十分です。

よくある質問

Q. クラウドに保存しているので、バックアップは不要ですか?

必ずしも、そうとは言えません。クラウドサービスは、機器の故障には強いことが多いですが、誤って削除したり、上書きしたり、アカウントを乗っ取られたりした場合は、元に戻せないことがあります。サービスごとに、削除したデータの扱いが違うので、契約内容を確認し、重要なデータは、別の場所にも持ちましょう。

Q. 外付けのディスクが1台あれば、十分ですか?

最初の一歩としては有効ですが、そのディスクが壊れたり、元のデータと同じ場所で被害を受けたりすると、すべて失うおそれがあります。可能であれば、クラウドや別の場所にも1つ持ち、3-2-1に近づけましょう。

Q. どのくらいの頻度で取ればよいですか?

「最大で何日分のやり直しなら耐えられるか」で決めます。毎日更新される重要なデータは、毎日。あまり変わらないデータは、週に1回など、データごとに変えてかまいません。自動で取れる形にしておくと、続きます。

Q. バックアップのデータに、個人情報が入っています。注意することは?

バックアップも、元のデータと同じ重要さで扱います。パスワードや暗号化をかけ、アクセスできる人を絞り、持ち出しや置き場所のルールを決めましょう。不要になった古いバックアップは、安全な方法で消去します。

まとめ:3つ持つ、2種類に分ける、1つは別の場所。そして、戻せるか確かめる

バックアップの基本は、3-2-1ルールです。守るものを書き出し、組み合わせと頻度を決め、実際に戻す練習まで行いましょう。ホームページも、データベースとファイルの両方を、別の場所に持つことが大切です。一度にすべてを整えなくても、まず「別の場所に、もう1つ」から始めれば、リスクは大きく下がります。

「自社のホームページや、社内のシステムのバックアップが、いまどうなっているか不安」という場合は、SaCのホームページ制作やシステム開発でも、ご相談いただけます。まずは、お問い合わせから、お気軽にご連絡ください。

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